一過性脳虚血発作(TIA)の診断基準の再検討、ならびにわが国の医療環境に則した適切な診断・治療システムの確立に関する研究を行っています

研究代表者からのご挨拶

一過性脳虚血発作(transient ischemic attack, TIA)の患者さんは、脳卒中の前触れ発作として知られています。すなわち、発作後早期に本ものの脳梗塞を発症する危険性が高く、専門医療機関での迅速かつ適切な診断・治療が必要とされています。しかしながら、患者さんや家族の皆さんが緊急の対応を必要とする発作であることをご存知でないために、医療機関を受診されなかったり、受診が遅れたりすることが少なくないようです。また、例え急いで受診されても、今度は診察にあたった医師がTIAの危険性を十分に認識していないために、診断・治療のタイミングが遅れたり、放置されたり、逆に本もののTIAではないのに過剰な投薬がなされる事例が少なからずあると推定されています。

近年の画像診断の進歩に伴い、海外ではTIAの診断基準の見直しが行われています。また、TIA専門クリニックのシステムが作られ、そこでの迅速かつ体系的な外来診療が、その後の脳卒中発症を大幅に抑制し、医療経済的な貢献も大きかったとの報告が相次ぐようになりました。一方わが国では、旧厚生省の研究班(平井班)によって脳血管疾患の診断基準が改定された1990年以降、TIAの診断基準の見直しは全くなされておらず、TIAの適切な診断・治療システムに関する検討もほとんど行われてきませんでした。

そこで、TIA診療の現状を明らかにし、診断基準を見直し、わが国の医療環境に則したTIAの適切な診断・治療システムを構築することを目的として、本研究班が結成されました。本研究班では、従来の専門医、専門医療機関だけを対象にした臨床研究とは一線を画し、むしろ一般市民への啓発、救急隊および一般医と脳卒中専門病院との連携強化に重点を置き、その上での脳卒中専門病院での診療体系の確立を目指しています。

我々の研究成果によって、わが国の最大の要介護性疾患である脳卒中の発症を目に見える形で抑制することができ、わが国の医療経済にも大きく貢献できることを目指しています。

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